プジョー308 に VWパサート・・・欧州COTYってどういう基準?

  欧州ブランドと聞くとなんだかカッコ良くて華やかなイメージがあるかもしれないですけど、実際に欧州各地で見かける乗用車は、やたらと汚らしくて地味なものが多かったりします。日本の雑誌は謙虚で自国のメーカーに対して厳しくて「マツダのデザインはやっと欧州水準だね・・・」くらいなニュアンスが多いですが、アメリカやドイツの雑誌では「マツダカッコ良過ぎ!日産もカッコ良過ぎ!もはや普通車ブランドの次元ではない!」くらいに書かれたりするんですよ!(それはそれで褒め過ぎじゃね?と感じたりもするのですけど)

  「世界の自動車オールカタログ」などを眺めていると、海外ブランドで日本未導入のクルマは、日本で売っても絶対に売れないだろコレ・・・ってクルマが多いです。日本で目にする輸入車とは全くデザインの質が違うのですよ。このギャップは一体何なんだ?・・・日本で売れている輸入車と言えば、1位メルセデス、2位VW、3位BMW、4位アウディ、5位ミニ、6位ボルボ、ここまでが1ヶ月で1000台以上を売る能力があるインポートブランドです。この6社は日本を主要な市場と見做して、日本人が好きそうなデザインのクルマを投入する努力を続けています。日本車よりも日本的なデザインを創る6ブランドですね。

  一方で日本のユーザーの嗜好なんて全く意図していないであろう欧州フォードは、フォーカスもフィエスタもなんだか欧州ローカル感が剥き出しで、そのせいか日本ではさっぱりです(新型マスタングは大好評ですが)。結局のところ日本で欧州車に乗る人ってのは、そのほとんどが欧州的なライフスタイルなんてどうでもいい(何の価値もない)と思っているわけです。「そのままの欧州車」ではなくて、「日本市場の嗜好をブレンドした欧州車」を見て、やっぱり欧州車はカッコいいな!とか思っているわけです。彼らに本質が欠如している!なんて言葉をぶつけるのは野暮ですし、やはり日本人のデザインセンスは海外でも高く評価されてますけど、かなり高いレベルにあります。フェラーリやマセラティの近年の代表作をことごとく仕上げたのは日本人デザイナーです。

  2000年代に日本で業績を伸ばしたアウディは、日産からスカウトした和田智のデザインによって見事にブレークスルーを果たしました。BMWもクリス=バンドルのやたらとゲイっぽいデザインが、アメリカなどではかなり反発を受けつつも、日本ではクルマにあまり詳しくないミーハー層に受け入れられました。永島譲二という日本人デザイナーがこの時期のBMWで大きな仕事をしていて、東アジアだけは好調にセールスを伸ばしましたので、なんだかんだで日本人向けのデザインだったと言ってよさそうです。とりあえず現在のところ近所で最も多く見かけるセダンは間違いなくBMW(3シリーズ)です。

  ちょっと余談で初心者にはマニアック過ぎる話ですが、近所で見かけるとテンション上がるセダン(Dセグ以上)のランキングです。

(低い=多い&見飽きた)3/5シリーズ→C/E/CLSクラス→クラウン/マジェスタ→A4/6→マークX/カムリ→LS/GS/IS/セルシオ/アリスト/アルテッツァ→フーガ/シーマ→アコード→レガシィ→ブレビス/SAI/アベンシス→アテンザ→スカイライン/ティアナ→レジェンド→ヴェロッサ→アルファ156/159→ウィンダム→インスパイア→ミレーニア→ディアマンテ(高い=希少&クール)

大体の感覚としてはスカイライン/ティアナくらいまでは、ごくごくありふれた存在です。ジャガーとかマセラティとか見かけることもありますが、とりあえず挙げるのは遠慮しました。まとめて見ると、やはりBMW、メルセデス、トヨタ、アウディ、レクサスといったブランドは良くも悪くも「無難」でマジメなサラリーマンから絶大な支持を得ているようです。とりあえず近所(東京西部)を見る限りでは絶対的に多いです。

  しかしそんな「無難」なデザインのクルマが集中的にユーザーに選ばれているおかげで、日本を走る高級車(セダン)はそれなりに品格があっていい!と感じます。もし日本で「ヒュンダイ・ジェネシス」「キア・オプティマ」「シュコダ・オクタビア」「リンカーンMKS/MKZ」「ダッジ・チャージャー」みたいなクルマが我がもの顏で走ってたら最初は物珍しいかもしれないですけど、こんなクルマばっかりだったらやっぱり街の景色に合わないですし・・・。

  「日本に合わないデザイン」という理由でこれまでも散々に日本市場から無視されてきたクルマの1つがVWパサートだと思うのですが、相変わらず新型もやはり日本にやってくるようです(北米向けジェッタの方が売れそうですけどね)。どれだけ勝算があるのかわからないですけど、価格は329万円〜となっていて円安の割にかなり謙虚な価格設定です。レガシィやアテンザとほぼ差がないですし、3シリーズと比べるとハッキリ(100万円!)安いので、引き寄せられる人もそれなりに居そうですね。しかしレガシィ、アテンザと並んだところで新しさを全く感じないデザイン(VWらしさ?)ですから、ミーハーでもそう簡単には契約しないでしょう。

  さてVWもプジョーも「ディーゼル出す出す詐欺」とでもいいましょうか、本国で主流となっているクリーンディーゼルをなかなか日本に持ってこようとしません。2015年の初頭にイギリス雑誌が出した「恩恵ある50モデル」という企画は、英国で販売されている全車種の中から、英国人の生活に役立っていて幸せにさせてくれるクルマ50台を発表してました。英国ではフォードやボクスホール(オペル)に次いで3大ブランドに位置するVWからランクインしたクルマは、コスパに優れた「up!」とハイスペックに振った「ゴルフR」とディーゼルを装備した「ゴルフTDI」の3台でした(影響力のない日本車はトヨタ、マツダ、スズキから1台ずつ・・・)。

  VWに限った話ではなく、BMWもマツダも同じですがとりあえず中型以上の普通乗用車はディーゼルじゃないと土俵に上がれませんよ!ってのがリアルな欧州の評価のようです。だったら最初からそのディーゼルを日本に持ってこいよ!って思うのですが、まあいろいろとややこしい事情があるようで、ゴルフもプジョー308も未だに実現していません。いっそのことディーゼルの準備が出来てから、満を持して日本で売ればいいと思うのですが、プジョー308は2014年中に、VWパサートは2015年中に日本に持っていかないと、せっかくたくさんのプロモーション費用を払って獲得した「欧州COTY・イヤーカー」の看板が無駄になってしまうという事情もあるようです。

  VWが日本をナメてるなと思うのは、ゴルフもパサートもアメリカではすでにディーゼル(TDI)が発売されているってことです。新型パサートもすでに販売を開始していて、1.8Lターボ(170ps)と2.0Lディーゼル(150ps)と3.6Lガソリン自然吸気(280ps)の3種類から選べるという極めて健全なラインナップが敷かれています。しかし日本ではゴルフと同じ1.4Lターボ(150ps)の1グレードから始まって、追加が予定されているのが、2.0Lディーゼルの超強力版(240ps)とPHVなんだそうです。これはどうやら・・・ボッタクリが始まる予兆か?。とりあえず北米でアテンザやレガシィよりも断然に安い戦略価格(21000ドル)で売っている1.8Lターボを日本でも売ってみたらどうでしょうか?


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