2016年3月2日水曜日

200万円台のクルマ第5位・・・ジープ・レネゲード

  申し訳ないですが「ノミネート21台」の段階で候補から漏れてました!!!フィアット500Xと基本設計が同じだから「省いた」というわけではなく、最初から完全に忘れてました・・・。去年(2015年)はジープブランドが日本で再び浮上を見せた1年でした。とはいっても月300台から800台くらいまで増えた程度で、やっと先行するミニやボルボの背中が見えてきたところです。

  勢いがついてきたジープ・ブランドで最も新しいモデルがこの「レネゲード」です。最初に言っておくとイタリア製です。基本設計はフィアット主導で行われたようで、「本物志向」の人にはちょっと気になる点ではあると思います。「そんなグローバル戦略車なんて興味がない!」と言われてしまうとそれまでですが・・・。わざわざイタリア人が作ったアメ車を買うなんて意味不明!・・・まあおっしゃる通りなんですけども、アメリカを代表するフォード・マスタングを作ったのもリー・アイアコッカというイタリア系アメリカ人ですし・・・、この人はジープの親会社クライスラーの会長を歴任した稀代のカーガイです。イタリアとアメリカのコラボを「ナンセンス」とするか「ロマンがある」とするかはユーザー次第だと思います。

  ジープ・ブランドが所属しているフィアット・クライスラー・グループ(FCA)の「スタンダードモジュラーユニット」としてブランド横断的に使われるようになった1.4L直4ターボは、さまざまなチューンがあって、ジープ・レネゲードのベースグレード(1400kg)に使われるのは、140ps/23.5kg・mとなっています。一方でアバルト500/595(1100kg前後)で使われるものは、同じ排気量のエンジンでもハイチューン版だと160ps/21kg・m、標準では135ps/18.4kg・mとなっていて、クルマの特徴に合わせて最大馬力と最大トルクを適正化しているようです。このエンジンはマツダ・ロードスターのフィアット版(1100kg前後)にも搭載されるようですが、スペックに注目したいところです(初めてFR用に縦置きされるそうです)。

  「自動車をマジメに作る」ことの判断材料として、やはりエンジンは重要なポイントになりますね。とはいってもトヨタやホンダは「熱効率」、BMWやスバルは「ミッションとの協調制御」、マツダは「圧縮比の限界を越える」、スズキは「クールドEGR(排気循環系)の採用」などなど、それぞれのエンジニアが唱える理想は多岐に分かれていて単純比較できません・・・それはそれでなかなか面白いですけど。それでもそんな中でもFCAは現在のところエンジンに関して最も「気合が入っている」グループだと思いますね。一言で言うと「無駄なエンジンが無い!」。

  日本メーカーを見ると、小排気量ならスズキ、2L前後ならばホンダとマツダ、大排気量だったら断然に日産という様に、メーカーごとに守備範囲が異なっていて、それぞれ得意・不得意があります。しかしFCAは小排気量が得意な「フィアット」、中排気量が得意な「アルファロメオ」、大排気量が得意な「クライスラー」、スポーツエンジンが得意な「フェラーリ」などなど「エンジン屋の期成同盟」みたいな組織になっています。クライスラー系列の超絶スポーツカーブランド「SRT」が使うV8、V10と、「フェラーリ」のV8、V12を傘下に持ちつつ、他方では4輪車には珍しい「直2」も実用化しています。

  さらに中排気量部門に鎮座するアルファロメオ渾身の1.75L直4は、BMW・ホンダのエンジン屋で知られる両雄とシリンダー速度で並ぶ、ハイクオリティな高回転型の市販エンジンとして知られています(ジュリエッタ・クワドリフォリオと4Cで使用)。またクライスラーが持つレネゲードの上級グレード「トレイルホーク」に使われる2.4L直4(自然吸気)は、クライスラーと三菱の合弁で作られた「異色の名機」です。メルセデス、BMW、VWグループ、PSA、ヒュンダイ・キア、新興中国メーカーなど幅広い地域で支持される三菱のエンジン技術がFCAでも使われています。

  それではこの200万円台のレネゲードのベースモデルに使われる1.4Lターボはどうなのか? エンジンのベースは2009年から製造されていて、以後改良によってバージョンを増やしています。その特徴は?というと、BMWを信奉するカーメディアがことさら大きく宣伝することが多い「バルブトロニック」(2001年にBMWが採用)を、小型エンジンでコンパクトに代用できる新手の可変バルブタイミング機構を取り入れた「リッチな小排気量ターボ」です。

  「可変バルタイ」は1980年代から三菱・日産・ホンダ・トヨタ(ヤマハ)の順に日本メーカーがとっくに実用化したもので(その後コスト高で廃止も・・・)、それから尻馬に乗ってBMWが採用したに過ぎないのですが、輸入車大好きなクソライター達はやたらと「BMW=えらい」「日本車=ゴミ」の根拠としてこのバルブトロニックを挙げます。日産がBMWを追いかけるようにスカイラインに「Vベル」という名称で採用したことで日本車が遅れているというイメージがあるようですね・・・。それはさておき燃費とレスポンスの向上が見込める機能なので、複雑な機構でもしっかりと耐久性を確保できれば、とても「いいエンジン」が作れます。

  実はこの可変バルブタイミングを最初に実用化したのが、なんと1970年代のフィアットだそうです。その後アルファロメオ(当時はフィアットとは別グループ)でも実用化されたとか・・・。けれども決して耐久性に優れているとは言えないのが、ひと昔前の「イタリア車」のイメージですから、おそらく当時はかなり不具合が出たのではないでしょうか(笑)。2009年から採用されているこの1.4L「マルチエア」はそれとは全く別に設計されたもので、信頼性の高いエンジンサプライヤーとして知られるドイツの「シェフラー」と共同開発したものです(これなら安心だ!)。

  シェフラーといえば、近年ではホンダと大規模に手を組んで、ハイブリッドにDCTを組み合わせる「日本とドイツの融合ユニット」を開発したことでも知られます。ヴェゼルHVのシステムはなかなか良かったですね、ちょっとDCT独特のジャダー(低速時にガタガタする挙動)が気になりましたけども、なんかちょっぴり教習所時代を思い出しましたね。

  グローバルで1.4L直4エンジンを展開するグループは、FCA以外にもVWとGMがあります。VWの1.4Lも紆余曲折があって、一時代を築いたエンジンであるのは間違いないです。FCAがマルチエアでレスポンスを強化したのに対して、VW1.4Lの初期型は「ダウンサイジング」の実力をハッキリ示すスペック主義で、ツインチャージャー(ターボ&スーパーチャージャー)という高コストなユニットに仕上げました。とにかくドイツらしく「力強く」なんでしょうね・・・。その後VWは「MQB」採用による車体軽量化への方針転換に伴い、「力強く・ガタつく」エンジンよりも「軽快に噴ける」エンジンへ変更し、スペックを落としたシングルチャージャーになりました(そりゃ過給器が2つもついていたらトルクの谷間ができるよ・・・)。

  すっかりエンジンの話ばかりになってしまいましたが、ジープといえば個性的なスタイリングがセールスポイントです。もっともクラシカルなスタイルなのが「ラングラー」で、モダンに攻めたのが「チェロキー」で・・・そんな2枚看板体制が現在のジープです(グランド=チェロキーなるプレミアム仕様もあります!)。そんな両極端な看板モデルを、デフォルメした廉価版がこの「レネゲード」と「コンパス」なんですが、ハッキリ言ってどれも比較対象になるようなモデルも無いので、デザインの良し悪しを相対評価することもできません!まあ好き嫌いはあるでしょうけどね。

  この「レネゲード」の兄弟車になる「フィアット500X」は、設計とエンジンこそ共通なものの、乗った雰囲気はかなり違いがあります。このフィアット500Xも非常に評判がいいみたいで、ルボランに連載中の福野礼一郎「比較三原則」では、500Xがミニ・クロスオーバーに「記録的大差」で圧勝していました。特に「駆動系の印象」という項目では、こんなに点数差が付くことがあるんだ!こりゃミスマッチだな!というくらい・・・小排気量の分野ではBMWが開発したユニットではFCAにまるで太刀打ちできないようです(あくまで福野さんの意見です)。


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