2016年11月11日金曜日

スポーツカー用モジュラー・シャシーの時代がやってきた!!!

  スポーツカーと言えばどこの国のクルマを想像しますか? まずは何と言ってもイタリアですか? 世界中に愛好家を持つフェラーリやランボルギーニといったスポーツカーの超メジャーなスーパーブランドがあります。3000万円以上する超高級スポーツカーを年間10000台近くも売りさばきます。なぜ世界中の愛好家がフェラーリに讃辞を送るのか? もちろんエンジンもシャシーも完全に専用設計であり、さらに単に早いだけのドラッグカーではなくトータルの商品力が非常に高いからです。停まっているフェラーリを見ただけでも何やら引き込まれる艶やかさがあります。

  エンジンはもちろんショートストロークで9000rpmまで軽々回り、4.5LのV8自然吸気で550ps程度まで搾り出す。レース用にメカチューン(過給によらない出力アップ)された「本物」に限りなく近いユニットが載ってたったの3000万円はむしろ安いくらいかもしれません。例えばスバルのWRC専用チューン車両などは6500万円もしますし、ホンダのレースチューンに限りなく近い二輪車(RC213V-S)も2000万円で市販されています。さらにフェラーリのV8ミッドシップシャシーは圧倒的なトラクションとコーナーリング性能を実現した専用シャシーが使われていて、レーシングカーにも関わらず内装までハイエンドに誂えてあります。まともに考えても3000万円は安い!!!

  3000万円のスポーツカーが安いのなら、それでは800万円程度で売られているBMW・M2とは一体何なのか?BMWによる出血大サーピズの超絶「ダンピング」祭りでも開催されているのか?日本のオッサンはやたらとBMWが好きみたいですが、彼らがスポーティと信じているクルマの本質は・・・フェラーリのミッドシップV8のようなスポーツカーと同列に語るには大いなる疑義があります。①エンジンがスポーツカー向きではない。②シャシーがスポーツカー向きではない。

  かつてBMWがフォーミュラカーのエンジンサプライヤーとして活躍した時期もあったので、今もメーカーの中枢ではスポーツエンジンの開発を継続しているように思いますが、もはや市販車にはフェラーリのようなレース用の自然吸気で高回転&高出力を目指すユニットは存在せず、ターボ過給で水増しされた頽廃的なアメリカン・ドラッグカー的ユニットを平然と使うようになりました。BMWからしてみればアメリカで売れさえすればそれでいいのかもしれないですけども、800万円で売れればそれで十分に利益が出る!!といった設計のクルマです。いうまでもなくシャシーはベース車の流用です。

  BMWも本当は専用設計のスポーツカーを造りたいはずです。しかしグローバルで150万台程度の業績(世界11位)では、三菱がランエボを、スバルがWRX・STIを造るように,
せいぜい「改造車」を造るのが精一杯です。それでもM3・M4用に特別にチューンされた直6エンジンはツインターボで7300rpmまで回る「只者じゃない」ユニットになっていたり、まあまあそこそこ実力を証明する要素はあります。そんな「消化不良」気味のBMWに救いの手を差し伸べたのがトヨタで、「お金は出して上げるから!好きなようにスポーツカー専用シャシーを造りなさい!」と・・・背中を押しましたとさ。

  EVスポーツカーの「i8」など長い歴史で何度か専用設計スポーツカーを投入してきましたが、プラスチックボデー(なのに乾燥重量1250kg)のZ1は大失敗に終わり、それ以外での専用設計シャシーは、BMWのスペシャルを意味する「8」モデルと、ランボルギーニに委託した「M1」のみ。セダンおよびGTカーを造らせれば絶品なのに、なぜか専用設計スポーツカーは長続きしないですね・・・語弊があるかもしれないですが、ハッキリ言って下手くそ。これはBMWが長年追いかけ続けてきたメルセデスにも全く同じことが言えるかもしれません。

  イタリア、イギリスと日本の自動車産業は類い稀なスポーツカー文化を育ててきましたけども、ドイツ、韓国、アメリカ、フランスはもっぱら実用車の開発を突き進んできました。あのポルシェ911だって50年ほど遡れば、当時のありきたりな実用車に行き当たります。またまた語弊があるかもしれないですが、ポルシェ911とは極めて保守的に発展した実用車のレジェンド・シリーズであって、言うならば「シーラカンス」か「ゴキブリ」です。

  より正確に分類するならば、専用設計スポーツカーにこだわるのはイタリアとイギリスとマツダとポルシェ。いずれも50年あまりの長きに渡って専用設計を護ってきました。マツダの開発者はこの偉大な歴史にまったく敬意を払わないアホな評論家ごときに、マツダ車を「ちゃらんぽらん」に評価されるのが何よりも嫌みたいですね。フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーティンはともかく、ジャガー、マツダ、ポルシェはスポーツカー作ってもあまり儲からないから出来ることなら辞めたい。けどこの3メーカーが辞めてしまったら、この世界にはGT-RとかAMGとかM3/M4いったような亜流がどんどんデタラメなコトをやらかすだろう・・・そうなったらスポーツカー文化はおしまいだ。

  しかし世の中は徐々に変わってきて、トヨタとスバルが協力して専用シャシーを作り、先ほども書いたようにトヨタとBMWも来年には新型スポーツカーを専用シャシーで発売する見通しです。さらにメルセデスも!!!SLとSLCの2台の2シーターのオープンにいよいよスポーツカー専用シャシーを投入するのだとか(従来はSクラスやCクラスのシャシーを流用)。このプラットフォームが共闘関係にある日産にも供給されて新しいフェアレディZになるのでしょうか?それともZには、ルノーがアルピーヌを助けて作ったミッドシップ・シャシーが使われるのでしょうか?さらにフォードも久々に専用設計スポーツカーを完成させましたし(フォードGT)、テスラだってロードスターを持っています。GMも90年代にコルベットを復活させて大切に存続させています。

  世界が自動運転に突き進む時代だから、「運転」を目的化したクルマへの要求が高まる傾向にはあるようです。何が起こるか?というと、専用設計のスポーツカーを顧客のニーズに合わせてヒエラルキーを作って展開するなんともハッピーな時代はウェルカムです。その中で同一ブランド内で複数のスポーツカーを作るために、「スポーツカー専用」だけど「モジュラー・シャシー」なプラットフォームが増えていきます。もはやブランドの垣根を越えて設計を共有する時代です。世界中のスポーツカーが栃木県で作られるLSDを使い、富山県で作られるアルミホイールを履く「画一的」な側面もあるでしょうが・・・。

  
  ドイツやアメリカの大手メーカーをも飲み込んだ「スポーツカーへの情熱」が盛り上がっています。さてさてその中でも一番といっていいくらいにこだわりを持ち、1967年のコスモスポーツ以来、専用設計シャシーを絶やさず作り続けたのがマツダです。スポーツカー&ロータリーエンジン50周年を迎える2017年には、さぞかし素晴らしい、群雄割拠のスポーツカーの中でも絶対的な主役になれるようなエレガントなモデルを発売してくれるでしょう。まさかのアメリカ大統領選挙の結果でTPPも白紙撤回がささやかれ、日本の自動車メーカーには暗雲が立ちこめてていますが、それでも「初志貫徹」してくれるならば全力で応援したいです!!!

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